辺境の獅子は瑠璃色のバラを溺愛する 2

 大抵の貴族令嬢は、母親が社交を仕切るのを手伝いながらそのやり方を覚えてゆく。サリーシャも何回かタウンハウスで行われる小規模なサロンの主催なら手伝ったことがある。しかし、ほぼ一年を通して王都に滞在していたため、領地での大規模な社交パーティーの手伝いはしたことがなかった。

「閣下、メラニー様からのお申し出についてなのですが……」
「ああ。きみが嫌なら、無理することもない。何回か仕切れば自ずと勝手も覚えるだろう。姉上自身もそうだったはずだ」

 車窓から街灯に照らされた町並みを眺めていたセシリオは、サリーシャの方を振り返ると穏やかにそう言った。

 サリーシャはぎゅっと手を握り込んだ。
 正直、セシリオと離れて一人でプランシェ伯爵家にお世話になりに行くのは寂しいし不安だ。優しくそう言われると、自分の居心地がよい方へと流されそうになる。