辺境の獅子は瑠璃色のバラを溺愛する 2

「貴女たち、先ほどからこっそりお話しているおつもりなのかもしれませんけれど、ちっとも声が隠せていませんわよ。そのような根も葉もない憶測を真実のように語るのは非常に不愉快です。殿下に対する不敬にもあたります。慎みなさい」

 叱りつけるような凛とした声。
 ハッとした様子のご令嬢達が慌てて「申し訳ありません」と謝罪する声が聞こえた。相手の女性の姿はサリーシャの位置からでは見えなかったが、ご令嬢達が慌てた様子で謝ったところから判断すると、それなりの高位貴族のご婦人だろう。

 カサカサと衣擦れの音がして、二人のご令嬢が部屋から大広間の入り口へと歩いてきた。呆然としたサリーシャの姿をみとめると、サッと顔色を変える。

「失礼します」

 やっと聞こえるような小さな声を発し、ご令嬢達はサリーシャの横を通りすぎる。サリーシャは、何も言葉を発することなくそこに立ち尽くした。