辺境の獅子は瑠璃色のバラを溺愛する 2

 屈託ない笑顔を浮かべてこちらを見つめるユリシアに、サリーシャは曖昧に微笑む。セシリオからの求婚は、サリーシャ自身も夢にも思っていなかった。おそらく、予想していた者など誰もいないだろう。

「昨日もサリーシャ様をお見かけしたのですが、アハマス閣下とずっと楽しそうにダンスをされていたから話しかける機会がなかったのです。とても仲良しでいらっしゃるわ。アハマス閣下とは、以前にお会いしたことがあったのですか?」
「ええ。ずっと昔の、まだ小さい頃に」
「なら、そのときに見初められたのかしら。サリーシャ様はお綺麗だから」

 愉しそうに笑うユリシアを見て、サリーシャは胸に靄がかかるような気分を感じた。

 セシリオがサリーシャと出会ったとき、サリーシャはまだ十二歳になったばかりの子供だった。その頃に見初めたとは到底考えられない。