辺境の獅子は瑠璃色のバラを溺愛する 2

「義兄上。昨日まで見かけませんでしたが、今日来たのですか? 姉上は?」
「メラニーなら、向こうで旧友につかまって話している。本当は結婚式の前日に王都に到着するはずだったんだよ。だけど、急遽来られなくなってね。最終日でも間に合ってよかった」

 ジョエルは両手のひらを上にして、大袈裟に肩を竦めてみせた。

「何かあったのですか?」
「それが、聞いてくれよ。本当に大変だったんだ。パトリックの奴が──」

 セシリオとジョエルが近況などを話しているのをぼんやりと聞いていると、とんとんと肩を叩かれて「サリーシャ様」と呼び掛ける声がした。サリーシャは振り返る。

「サリーシャ様、お久しぶりでございます。ご結婚されたとお聞きしましたわ。おめでとうございます」

 目の前に立つご令嬢を見つめ、サリーシャは目をしばたたかせる。茶色味を帯びた金髪、琥珀色の瞳、パッチリとした大きな瞳の可愛らしいお顔……