辺境の獅子は瑠璃色のバラを溺愛する 2

「初めまして、プランシェ卿。マオーニ伯爵家から嫁いで参りましたサリーシャです。不束ものですがよろしくお願いします」
「プランシェ卿なんて堅苦しい言い方はしなくていいよ。私のことはジョエルと呼んでくれ」
「では、ジョエル様と」
「いいね。こんな可愛らしい妹君が出来て嬉しいな。実は以前、サリーシャを舞踏会で見かけたことがある。あの時はデビューしたてだったのかな? まだ幼さが残る感じだったけど、今やすっかりと貴婦人だ。あんなに小さかった殿下もご結婚されるし、時が経つのは早いな」

 ジョエルは楽しそうに笑うと、サリーシャに片手を差し出す。おずおずとそこに手を乗せると、指先に軽くキスをされた。
 セシリオの義兄であるジョエルは、物腰の柔らかな男性だった。サリーシャが緊張しないようにわざと砕けた調子で話しているのだろう。年はセシリオよりも八つ上の三十七歳だという。