辺境の獅子は瑠璃色のバラを溺愛する 2

 サリーシャはフィリップ殿下の最有力婚約者候補だったので、王宮で行われる舞踏会はほぼ必ず出席していた。もう何回もこの場所に立ち、幾人もとダンスを踊った。それなのに、いざ相手がセシリオだと思うとサリーシャの胸は早鐘を打ち、否が応でも高鳴ってしまう。
 強張った表情のままセシリオと向き合うと、セシリオの首が目に入った。

 サリーシャは今日、十センチもあるハイヒールを履いてきた。それなのに、やっぱりセシリオは背が高すぎて、サリーシャの目線の高さはやっとセシリオの首なのだ。引き締まった太い首と少し出っ張った喉仏がよく見える。
 少し視線を上げると、一文字に引き結ばれた薄い唇と高く通った鼻梁が目に入る。そして、鋭いヘーゼル色の瞳はサリーシャと目が合うと、優しく細まった。

「サリーシャ、もしかして緊張してる?」
「……少しだけ。分かりますか?」
「ああ。いつもより、少し顔が強張っている」