辺境の獅子は瑠璃色のバラを溺愛する 2

 華麗に踊る人々を見つめていると、セシリオがかがんでサリーシャの耳元に口を寄せた。

「そろそろ行こうか?」
「はい」

 差し出された手に自分の手を重ねると、いつものようにエスコートには少しばかり強過ぎる力で握られる。けれど、その力強さが返って安心できる。サリーシャは握られた手をしっかりと握り返した。




 煌びやかな大広間の中央に立つと、懐かしい感覚が蘇った。

 壁に貼られた金箔が反射する蝋燭の光と、シャンデリアが放つクリスタルの輝き。頭上から優しくこちらを見つめる絵画の中の人々。そして、美しく着飾った人々。視界の端で貴婦人が手に持つ扇がゆっくりと揺れている。