今日はお母さんとお父さんに高級旅亭に呼ばれ、高校から直行する。どうしたんだろう、こんなところに呼ぶなんて…

「花梨、こっちよ!」
お母さんに呼ばれ、席につく。

「お母さん、何で前に椅子が3つもあるの?」
誰か来客でもいるのかな…?

「それは、後でわかるわ」
何故か楽しそうに表情を和らげる。

まあ、いっか。

おとなしく待ってると、車が一台到着し、
中から男の人が2人と女の人が1人出てきた。

「待ってたぞ、悠三!」
「おお、賢一久しぶりだな!」

「まあ、席に座ってくれ」

そう言って席に座った。

「え〜、花梨には伝えていなかったが――
 婚約をしてもらう。」

「へ…?」

え、えぇっ〜!?私、婚約するの…!?

「お母さん!なんで言ってくれなかったの…!」
「花梨、ごめんなさいね…自前に言ったら来ないと思って…!」

うぅ〜、それはそうだけど…!

「花梨、お相手はこちらの前川悠里さんだ。」

「よ、よろしくお願いしま――」
言葉が出てこなかったのは相手に見覚えがあるから。そう、この人は私の初恋の人…

「それから、今日から二人は同居してもらう。」

「っへ!?」

ど、同居…!?二人で住むってこと?
一気に顔が熱くなる。

「今から荷物を持って、同居するマンションへ行って、3ヶ月間過ごす。どうだ?」

どうだ?って…私には無理だよ…、

「悠里くんから許可をもらっている、いいだろ?
花梨。」

これは政略結婚ってことだよね…?
お父さんに恥をかかせたくない…、よ、よし!
頑張るしかない…!

「わ、分かりました…。引き受けます。」

「よし、いまからマンションへ行くぞ」

ま、マンションで二人きりなんて…
うまく乗り切れるかな…




「つ、着いた…」

私達の部屋は307。

「お、お邪魔しまーす…」
なんか緊張する…。

「明日には家具が全部届くらしいよ」

「わ、分かりました」

今日はすごい疲れたから早く寝よう!

「先にお風呂入りますね」

明日の朝ごはんどうしよう。玉子焼き作ろうかな。

そんなことを考えながら、眠りについた花梨であった。