次の週、もう一度行ってみた。

 ピアノの音が聴こえてきた。
 今日は、まるで、暗闇の中を彷徨っているような音だった。

『悲しくないのに、悲しくなる。』
 涙が出てきた。

 でも、聴けて嬉しかった。
 廊下で聴いていた。

 ピアノの音が止まった。
『え?もっと聴きたかった。』
と思って、廊下に座っていると、
音楽室から誰か出てきた。