私は何時も説明が長くヘタなので。

 ご飯を食べてお風呂に入って。眠る準備を全て整えてから
リビングにて曽我さんにこれまでの出来事を全て話した。
 来画さんとの事、お母さんとの話し全て。

 過去の話は言わなくても彼は知っているんだろうけど。
 私から聞いてどんな態度を見せるのか少し興味があって話した。

 結果は、大して驚きもせずフーンで流される。

「実花里はどうしたいとかあるの」
「あったらこんなぼんやりしてると思います?」
「……それもそうか」

 お母さんに先を考えろと言われたものの、どうやらいい会社に就職
とかはお気に召さない様子。喜ぶような良い答えが浮かばないから。
 嫌になって考えることを放棄した。

 何時までも若くないし逃げてばかりではいけないけど。

「女優目指そうかな」
「……」
「お母さんもそこは諦めてくれてるのが救い」
「2人で花屋する?」
「……する?」

 少しの時間見つめ合って「無理だよね」という苦笑い。
 
「経済的な心配じゃなくて君を託せる相手を探してるんだよね。
大事な姫を託せる王子。……私は駄目だって言われてるからな」
「お母さんは王子様を求めなかったのに何で私には与えようとするの」
「女帝の考えは読めないから」
「私が女優になれなかったから?芸能界がそんなに大事なのかな」
「でも実花里を大事に思ってるのは確かだよ」

 お母さんらしいこと何もしてもらったことないけど、
お母さんが恋しい。お母さんに褒められたい。娘として認識されたい。

 女優として一緒の舞台に立つなんて無理だけど人生は共にありたい。

 だって親子なんだもの。

 それが母には重いのか私だけいつも置いていかれてた。
 あのパーティの時だってそうだ。私は最初から置いていかれていた。

 可愛らしいワンピースに大きめのリボンを頭に付けてアピールしても
 似合ってるって笑ってくれたのは詩流と来画さんだけだった。


  私って結局何なの?


 あぁ……だるい。


「……」
「実花里?」
「2人で海外にでも行く?」
「急だね」
「会う度に一緒に逃げようって誘ってきたくせに」
「もしかして昔のことを思い出した?」
「ちょっとだけ。ストレス溜まるとスイッチ入るみたい」
「それは良い状態じゃなさそうだ」
「今更?全部知ってて私が好きなんて変な男」
「初めての子に執着するタイプだから」
「そうなんだ。報われなくて可哀想な所は私達似てるよね。
今日はもう寝てリセットする。私はまだ寝ていたいの」
「……」
「寂しそうな顔をしないで詩流。楽しい時間はすぐに来るから」
「だと良いんだけど」
「お休み」


 何処まで話したのか曖昧なまま朝になるとベッドに眠っていた。
多分無意識に自分の部屋に行ったんだと思う。それか寝てしまって
曽我さんに連れて行ってもらったのか。出来ればそれは嫌だ。
 そんな子どもみたいな事したくない。

「おはよう」
「あれ。朝元気だ」
「今日は昼から仕事だから」
「流石プロですね」

 リビングに向かうと朝食を用意してくれている曽我さんがいた。
 用意、といっても袋から出すだけだけど。

「その代わり夜が自由なんだ。デートしない?」
「初めてストレートにお誘いしてます?」
「うん。そう。真面目に言ってる」
「初めてのデートで押し倒そうとする人は嫌い。
そうじゃないなら……いい、です。よ?」
「良かった。断られたらどうしようか考えてた」
「健全なデートなんですよね」
「そのつもりだけどいい感じになったら少しくらいは触っても」
「詩流さん」
「ごめん。……楽しみにしてる」
「それは私なんじゃないですか?ふふ。変なの」

 何となく嬉しそう見えるのは気の所為?

「君のお母さんが出る映画の話しあったよね」
「はい。そちらも出るんでしょう?今度こそしっかり見学します」
「結構派手に脱ぐシーンがあるって言ったら怒る?」
「え。…ええ!?お、お母さんとそんな熱いラブシーンがある映画!?」

 それはちょっと…だいぶ、無理。