「玲奈って、水族館が好きだったよな?」

「うん。中学に入ってからは全然、行けてないけど、小さかった頃は年パス買ってもらって、よく連れてってもらってたぐらい、好きだよ。でも、何で?」

「ホワイトデーのお礼もかねて、オレと水族館に行かない?」

「えっ、それって、2人でってこと?」

「もちろん。ホワイトデーのお礼なんだから」

 護はにっこりする。

「他の子からもらってないの?」

「もらってない。あっ、母さんからももらった。でも、それだけ」

 本当かな??

 あっ、そっか。私が護の彼女だと思ってて、渡さなかった子がいたかもしれないんだった。

「で、オレと水族館に行ってくれる?」

「うーん…お礼ってことは、護がおごってくれるってこと? それはちょっと…」

「玲奈だって、バレンタインデーに材料費を使っただろ?」

 …それもそうだった。

「あの水族館、学生の入館料は高くないだろ? それに、割引クーポン持ってんだ。お返しに多分、ちょうどいいぐらいの額だよ」

「それなら…いいかな…」