腹が立ったから、ガチャッ! と乱暴に音を立ててドアを開けた。

「っうわ! 玲奈か。びっくりした。ノックするから、母さんか誰かだと思った」

 不意打ちに驚く護を見て、胸がスカッとした。

 私は、袋をできる限りぶっきらぼうに、護に突き出した。

「1日早いけど。昨日、みんなで作ったの」

「マジで? 手作りってこと?? オレ、がんばったカイがあったわー」

 だから、ニコニコされると、こっちはドキドキしちゃうんだってばっ!!

「で、でも、これは材料が余ったから作ったやつなの」

 それはウソじゃなかった。

 でも、護は相変わらずニコニコしている。

「中、見てもいい?」

「だ、ダメ! 私が帰ってからにして!! 絶対、今、見ないで!!!」

 目の前で、ハート型ブラウニーを開けられたら、私、生きていけない気がするっ!

「分かった、分かった。今日のおやつに開けて食べるよ。玲奈、ありがとう」

「ど、ど、どういたしまして…」

 護の方を直視できなくて、目をそらしながら、私は返事をした。

 それから私は走って家まで帰った。

 家に着いてから、あっ! と思った。

 義理チョコだって、言い忘れた!!