恭子は、『えーっと』と考えながら、カップを持ち上げた。

「私も、恭子ちゃんがどんな男子のこと好きになるのか、興味ある」

 ついさっきまで、みんなの興味が私と護に一点集中していたのが、今度は恭子へと移った。

 恭子が答えに困っている。珍しい。こういう恭子は貴重だ。

「きっと、もうすぐ…だと思うんだ。今はその準備中なの」

「なーんだ。今は好きな人いないってことかー。恭子ちゃんのチョコ、ほしがってる男子、いるのにな。優しいし、オススメできるよ。誰か教えるから、その男子じゃダメ?」

「でも、私、自分から好きになりたいタイプなの」

 恭子が、ふふっと笑った。

 私はその笑顔が、とても魅力的で、きれいだと思った。