オーブンの扉を開けると、予熱で温められていた空気がむわぁっと広がってきた。

 慎重に、型に入った液状のチョコブラウニーをオーブンの中へ入れ、扉を閉めた。

 私たちは待っている間に、使った調理器具を洗ったり、散らかった小麦粉やベーキングパウダーを掃除した。

「4人で作ると、あっという間だね。片付けもすぐだし。それに、何より楽しいっ」

 恭子が大きな笑顔で言った。

「本当ー。私、1人だったら面倒で作らなかったと思う。玲奈ちゃんと恭子ちゃんに感謝だよ」

 私はびっくりして否定した。

「ううん、恭子が計画して、声もかけてくれたんだよ。私は乗っかっただけ」

「言い出しっぺってだけだよ。私は、みんながうちに集まってくれたことに感謝」

 恭子はからっと笑った。

 そのとき、オーブンの電子音が焼き上がりを知らせた。