こんなことになるくらいだったら、もっと早くオレの気持ちを素直に出すべきだった…と後悔する。

 玲奈は、高学年になったあたりから、アイドルやモデルに大騒ぎするようになった。

「こんなカッコいい人が日本のどこかに実在するだなんて、信じらんなーい! 同じ学校だったらよかったのにー!!」

 目をキラキラさせながら、よくそんなことを叫んでいた。

 同じ学校に通うオレの前で、よくそんなこと言えるなーと思っていた。

 でも、そんなには気にならなかった。相手はしょせん、雲の上のような存在なのだから。

 次に中学に上がってからは『誰それ先輩がカッコいい』という話をよくするようになった。

「同学年の男子なんて子どもっぽくて、全然ダメっ。歳上ってステキっ。あこがれるー!」

 そんなことを言い始めた。

 同い年、なんなら2ヶ月だけとはいえ、歳下のオレの前で、そんなこと言うかー?? と思っていた。

 それでも、やっぱり心配していなかった。ビビりの玲奈が、男の先輩と仲よくなれるはずもなかったから。