文集が配付された日から終業式までの短期間に、護の作文は学年中に知れ渡った。

 廊下を歩いていると、コソコソ話をしているのが聞こえた。

「ほら、あの子だよ。例の『幼なじみ』って」

「えー、顔が見えなーい」

「でも、恥ずかしがり屋なんだから、こっそりじゃないと…」

 恥ずかしいー! 護、どうしてくれるのよーー!!

 私の方は、作文をとても真面目に書いた…はずだった。

 でも、『これからも、大好きで大切な人たちと、時間を共有していきたいです』なんて、書いてしまったのだ。

 『大好きで大切な人たち』っていうのには、私を育ててくれた家族や、仲よしの友達も含まれているのに!

 そこに『幼なじみ』の1語も入れてしまったのが失敗だった。

 その『幼なじみ』という言葉だけに、注目が集まってしまったのだ。