でも、母さんの方はヨウシャなかった。

「でも、もうお嫁さんみたいなものでしょ? 離れに住んでて、週末に顔を出すって感じかしら? うちなら、嫁姑問題も心配ないわよ。それに、ひいおじいさんも、護に少し遺産を残してくれてるのよー。玲奈ちゃんとの結婚式費用にしなさいって」

 ぶっ、ゴホッ、ゴホッ…

 真っ赤な玲奈を、かわいいなー、なんて高見の見物していたら、オレの方が紅茶を吹き出してしまった。

「いやーねぇ、汚い。そんなだから、玲奈ちゃんがお嫁さんになるのを渋ってるんじゃないの?」

 玲奈が、肯定も否定もできずに、困っている。

 オレは、母さんが差し出したタオルを受け取って言った。

「母さん、オレは玲奈のペースに合わせたいから、そうっとしておいてよ」

 玲奈は、少しほっとしたような顔をした。

 ふふん、焦る必要なんて全くないんだ。だって、玲奈はもうその気なんだから。

 ニヤけてしまいそうなところで、紅茶を飲んでゴマかした。