スタジアムを後にして、幻想的なクラゲ水槽をゆっくり眺めたら、続いて広いペンギン水槽の前に出た。

 ペンギン水槽の前には、ベンチが並んでいる。

「座って、ゆっくり観察しようよ」

 反対する理由も特にない。私は護の横に並んで座った。

「玲奈、知ってる? ペンギンって一途だし、愛情豊かだから、ペアになったら、一生、連れ添うんだって。だから、このペンギン水槽の前に座ったカップルは別れない、ってジンクスあんの」

 知らなかった。でも、そもそも私たち、カップルじゃないし…そう、ノドから出かかった。

「なあ、呪いのこと、気になるなら、オレは幸せなジンクスがあるとこ調べて、玲奈が安心できるまで、たくさん連れていくよ」

 護は呪いのこと、忘れたわけじゃなかったんだ。

 私のことを考えてくれていたなんて、なんだか泣きそうになってしまう。

 それから少しの間、私たちは無言でペンギンたちのかわいい仕草を眺めた。