クリスマスイブ🔔

ドンッ。
何かにぶつかった衝撃。

姿の見えなくなった大河を追って走り出した私は、角を曲がったところで何かにぶつかった。

えっと・・・
今何が起きているんだっけ。

「やっと捕まえた」
頭の上から降ってきた大河の声。

ぶつかったはずの衝撃にそのまま吸収された私は、温かくやわらかな存在に包み込まれている。

そうか、私が大河を追いかけたんだ。
大河は追いかけてくるのがわかっていて、待っていたんだ。
結局、大河の思うつぼってことね。

「どんなに逃げても俺はあきらめない。俺は、日彩が好きだ」
「私も大河が好き」

この10日間は本当に無駄な抵抗だった。
どんなにあがいても、気持ちは止められないのに。

「今度連絡が取れなくなったら、病院へ直接かけるからな」
「はあ?」
そんな事すれば大騒ぎになる。

「それでも返信しないなら、『婚約者です』って押し掛ける」
「大河」
彼らしくもない発言に思わず顔を見上げた。

「日彩、これからも大変なことがたくさんあると思うけれど一緒に生きて行こう」
「・・・」
感動と驚きで返事ができない。

「母さんの言ったことは気にするな。俺が話をする。綾香のこともすまなかった」
「うん」
全部知っていたんだ。

「日彩、俺についてきてくれるか?」
静だけど、強い眼差しに大河の決意の強さを感じた。
「・・・はい」
私は素直に返事をした。

もう迷いはない。
どんな結果になっても、私は大河ともに生きていく。

この夜、私たちは今までで一番素敵なクリスマスを過ごすことになった。


fin