長い悪魔に魘されていたツヤは、赤い両目から涙を流していた。嗚咽を漏らし、体を震わせて、小さな子どものように頼りない。そんなツヤの姿を見るのは初めてだったからだ。

「ツヤさん、みんなを呼んできます。お水飲みましょうか」

イヅナがそう声をかけるも、ツヤはただ泣き続ける。刹那、イヅナの華奢な両肩をツヤが素早く掴んだ。

「何で!?姉さん、どうしてあの男を殺させてくれないんだ!!あの男は、姉さんの全てを奪ったのに……。姉さんを殺した男なのに……。どうして!!」

泣きながら大声で怒鳴るツヤの声が廊下に響いていたのか、「ツヤ、気が付いたの?」とギルベルト・エーデルシュタインを先頭にレオナードたちが部屋に入ってくる。その中には、アレン・ホッジンズとチターゼ・グランツもいた。

ギルベルトの屋敷の部屋はイヅナの住んでいる家よりずっと広いはずなのだが、大きなベッドを八人で取り囲むと一気に狭く感じてしまう。