「はっ、は、初めまして!!羽根村ゆく、優花です!ゆい、唯くんとおつきあいさせてもらってます!!お、おじゃまして、すみません!!」


ど緊張で顔を真っ赤にさせた優花が深々と頭を下げた。

いくら緊張してても自分の名前咬まねーだろ、普通。


車の下に潜っていた親父が工具を持ったままヌルッと出てきて、
相変わらず煤だらけの顔で白い歯をニカッと見せた。

「あららら、まーかわいいお嬢さんで!いつもバカ息子が世話んなってるね!ゆっくりしてってな!」

「は!はい!!ありがとうございます!!」

「唯!ほらお前ボーッとしてないで優花ちゃんの鞄持って案内してあげな!あ、あと戸棚の上の茶菓子食っていいから!」

「へいへい。」

親父はいちいちボリュームがでかい。


言われた通り優花の鞄を持って階段を上るよう促すと、後ろから親父に腕を引っ張られて耳打ちされる。

「唯、お前変な気起こすんじゃねーぞ。まだお前ら食わしてもらってる身分で、万が一授かっちまうようなことがあったらお前、色々と大変…
「分かってるって。一緒に勉強するだけだから。」


…さすがに親父が真下で働いてる中、行為に及ぶのは無理だよな。

変に焦って損した。