「どうしてもいやなの?」
おじさんの困った顔。

「ええ、もう少しだけ待ってください」

はあぁー。

なぜだろう、おじさんのため息が聞こえてきた。

「おとなしく言うことを聞いてくれればそれでいいと思っていたんだ。そうすれば言うつもりは無かったんだがね、」
「え、」
何を?
「真理愛ちゃん、君は本当に皆川先生が手配してくださった宿泊所に泊っていたのかい?」

マズイ。
おじさんにバレていた。
きっと、お見合い相手の田中さんが告げ口したんだろう。

「本当なら病院へ来ることも禁止して、家に閉じ込めておきたいところなんだよ」

田中さんのことだからあることないこと誇張して、おじさんにだって酷いことを言ったんだろう。
でも、だからって、このまま家に帰るのは嫌だ。

「ごめんなさい、おじさん。でも、もう少しだけ」
「ダメだ」

え?
こんなにはっきりと、おじさんに拒絶されたことはなかった。