私と敬さんの関係は一体何と呼ぶんだろう。

恋人、ではない。
友人、とも違う。
セフレ・・・では絶対にない。

4年ぶりに敬さんの部屋を訪れてから、1週間が過ぎた。
私が「泊ってもいい?」と聞けば敬さんは反対するだろうと思ったのに、不思議なことにすんなり「いいよ」と言ってもらった。
あれ以来2度ほど私はここに泊りに来ている。
とはいえ、ただ話をして、食事をして、時には同じベットに眠るだけ。
今のところそれ以上の関係はない。

「今日はずっと病院にいるのか?」
「うぅーん、午後からは別の約束があるから」
「そうか」

土曜日の今日は敬さんが県立病院で勤務する日。
せっかくだから一緒に行こうと、2人で支度を急いでいた。

「車を出そうか?」
「いいよ。せっかくいい天気だし、歩きたい」

病院までは徒歩でも10分ほど。
車を出せば大通りに出るために回り道になるし、駐車場からの距離を考えれば歩いたほうが早い。

「じゃあ、行こうか?」
「うん」

お父さんは時々目を開けるようになったけれど、まだこちらの言うことはわかっていないように見える。
私は未だに病室へ付き添う生活を続けていた。