う、うぅーん。

目が覚めると暗闇だった。

そうか、私は敬さんの部屋に泊まったんだ。
今何時だろつとあたりを見ると、ベットサイドに置かれた私の携帯が時々光っている。
どうやら何件もの着信があったみたい。
送り主はお母さんかおじさんだろうからと、あえて確認することはしない。

「目が覚めたのか?」
「・・・うん」
こういう状況で話すのは初めてで、恥ずかしい。

「体、大丈夫か?」
「うん」
とは言ったものの、すごくだるい。

それでも必死に携帯に手を伸ばした。
『今日は友達に家に泊ります』
こんなメール1つでお母さんが納得してくれるかはわからないけれど、何も言わないよりはいいだろうと連絡を入れた。

「ごめん、無理させた」
「いいの」
私自身が望んだことだから。



それからもう一眠りして、目が覚めると敬さんが朝食を用意してくれていた。
何とか動けるようになった私はシャワーを浴び、敬さんと2人で食事を食べた。

「声、酷いな」
「そう?」

少しヒリヒリするけれど、原因がわかっているだけに誤魔化すしかない。

「大丈夫?怒られないか?」
「うん、たぶん大丈夫」

おじさんに何か言われるかもしれないけれど、しばらく大人しくしていれば忘れてくれるはず。
それでもだめなら、お兄ちゃんのように家を出ればいい。

「無理するな。何かあったら俺に言うんだぞ」
「ぅん」
あれ?

敬さんはどうしてそんなに心配するんだろう。
まるで私が叱られるのがわかっているみたいで・・・