何とはなしに、連れ立った背中が人混みに消されるまで見送って。ハッとする。・・・ヤバイ、高野をほったらかしだー!焦って回れ右したら勢い余って誰かにぶつかった衝撃。

「・・・っっ、ゴメンナサッ」

「勝手に動くなって言ったよな?」

地の底から湧き上がったよーな低い声が脳天から聴こえた。そのまま後ろ頭を抑えこまれ、ダウンの胸元に自分の顔がめり込んでる。

「クソガキ相手になにやってる、バカ伊万里」

・・・なんだ、見てたんだ。

「無駄に人助けなんかするな」

坊主のセリフじゃないよー。

「その労力を俺に注ぎ込め」

いっつも最後の一滴まで使い果たしてるってー。思わず笑った。