「ワガママだなー相変わらず」

笑ってはぐらかした。
高野は宿り木、あたしは迷い鳥。
分かってるくせに。

「地球の裏側から呼びつけられても困るし、20年分くらいオマケしてくんない?」

「しねぇし、どこにも行かせない」

おもむろにダウンのポケットに手を突っ込んだ高野が、取り出した何かをあたしの掌の上に乱暴に押し付ける。包装もリボンもない真珠色の四角い小箱。

「なに・・・これ」

心の声がまんま漏れ出た。

「煩い。・・・捨てたら殺す」