「いま帰り?」

「うん」
 
委員会活動で遅くなり、学校を出るともう真っ暗。
校門をくぐろうとしたら部活帰りのクラスメイトの男子に会った。

「電車、だっけ?」

「うん」
 
自転車を押しながら、彼が並んで歩く。

……あれ?なんで?

「そういや、今日の英語の課題、酷くね?
プリント二枚もある上に、明日小テストする、とか」

「……だね」
 
彼はなんでもないように、普通に話だした。
戸惑いつつも返事をする。

「二年なっても同じクラスだったらいいのにな」

「うん……え?」
 
思わず見上げた彼の顔。

「あ、駅に着いた。
気をつけて帰れな」
 
自転車で去って行く彼の背中を見送りながら、自分の速い心臓の鼓動に困惑していた。