チュッ、彼の唇が私の耳にふれる。

「いつもそのピアスしてんけど。なんで?」

「ただのお気に入り、だから」

「自分で買った奴?」
 
チュッ、再びふれた唇に、甘い吐息が漏れた。

「なんで、そんなこと聞くの?」
 
チュッ、チュッ、チュッ、何度も耳に落とされる口づけが、耳にかかる湿った吐息が、もどかしい。

「俺以外の奴が、おまえの身体に入ってるなんて許せねー」
 
ガリッ、ピアスに噛みつくと彼は、器用に口でそれを外した。
右も、左も。

「おまえは俺のもんだ。
一ミリだって、たとえ過去の男にだって渡さない」
 
再び耳朶に落とされる口づけ。
消毒するかのように、念入りに。

「ピアスがしたいっていうなら買ってやる。
その代わり、俺が買った奴以外するな」
 
ようやく重なった唇。
彼に独占されている身体は、そのまま蕩けていった。