入学式は最悪だった。
これから式に出ないといけないのに、先輩たちの悪ふざけに巻き込まれた。
俺の体は甘ったるいオレンジの液体に包まれた。
まだ新しい紺色のブレザーもズボンもびしょびしょ。

「こら!おまえたち!入学式だぞ!なにしてる!」
先生の怒鳴る声を他所に走り出す
「ごめん先生俺らそんなにいい子じゃないから!」
そう言って四、五人だったかな、俺のことを追い越して走っていく。
その中に一際目立つ金髪の男がいた。それが木村 海との出会いだった。




先生はその後先輩たちの代わりに謝罪してきた。
「ごめんな、あいつら悪い奴じゃないんだよ。」
どうやら先輩たちは軽音部で先生はその顧問らしい。
手のかかる生徒でいつも苦労している。とすこし苦笑いで話す。
入学式は特別に体操服で出ることになり、俺の制服は生徒たちより先にこれから過ごしていく教室のベランダに揺れていた。