私は今日も、虚構(キミ)に叶わぬ恋をする。

入学式以来の、大切な親友。

その陽菜に、私は今、大きな嘘をついている。


「……深月がそこまで言うなら、百歩譲って信じるけどさ。
ねぇ?深月は、久我山くんのどこが好きなの?」

「どこって……さっきも言ったけど、優しいところとか」

「優しいって、例えば?」

「えぇと……」


秘密がバレないように言葉を選びながら、私は正直な思いを告げた。


「ありのままの私を、受け入れてくれるところ、かな」

「ありのまま?」

「考え方の違いがあっても、否定せずにきちんと話を聞いて、理解しようとしてくれる。

久我山くんのそういう誠実なところが、私は好きなんだと思う」


久我山くんは私や真昼ちゃん、あるいは烈華様のことを、決して馬鹿にしない。

私たちのオタクのノリに、呆れたり驚いたりしながらも、そういうものなんだって認めてくれる。

とっても思いやりがあって、一緒にいて心地良い人。

烈華様に対するときめきとは違うけど、私は久我山くんのことを、男の子として魅力的だって思う。