私は今日も、虚構(キミ)に叶わぬ恋をする。

「あの先輩たち、引いてたよね。ウケる。
いやー、日頃ドラマ見まくってた甲斐があったわ〜。
ドラマって言っても、アタシ、イケメンが出るやつ専門だけど」

「あの……ありがとうございます。本当に助かりました」


私は深々と頭を下げた。


「敬語いらないよ。あんたも新入生でしょ?
アタシ、ああいうの嫌いなんだよね。
女だからってナメてくる男。ほんと無理。

通りかがりに見てイライラしちゃったから、つい割り込んじゃった。
全く、笑顔と元気をくれるテレビのアイドルくんたちを見習えって感じ!」

「アイドル好きなの?」

「うん。イケメン大好き。
でも、さっきの先輩たちは、例え顔がよくてもありえないけどっ!」


サバサバと笑うその子は、《田村陽菜》と名乗ったので、私も自分の名前を告げた。


「オッケ、深月ね。アタシ、この学校に知り合いがいないんだ。よければ仲良くしてよ」

「嬉しい。私も、まだ友達がいないから。
よろしくね、田村さん」

「陽菜でいいよ。同じクラスだといいね、アタシたち!」


その後、クラス掲示を見に行った私たちは、見事同じクラスに名前を連ねていた。

あの時は嬉しくって、思わず2人手を取り合って喜んだ。

それ以来、私にとって陽菜は、大切な友達だ。