私は今日も、虚構(キミ)に叶わぬ恋をする。

久我山くんは、重い空気を吹き飛ばすように明るい声で言った。

「じゃ、そろそろ教室戻るか。宝城先輩たち、流石にもう居なくなってるといいんだけど」

「うん……。でも、あの様子だとまた来そうだよね、先輩たち」

「だよなー……」


明るい表情から一転、がくっと項垂れる久我山くん。
このままだと転校早々、久我山くんの心労がMAXになってしまう。


(私に、何かできることがあればいいんだけど……)


「あ!」

「どうしたの? 光峰さん」

「いいこと思いついた!
私が久我山くんの彼女になるのはどうかな?」

「かっ……!?」

私の言葉に、久我山くんは顔を真っ赤にした。


「いやいや、光峰さん、さっき言ってたじゃん! 『彼氏を作る気はない』って!」

慌てた様子の久我山くん。
自らの言葉足らずに気づいた私も、おおいに慌てながら補足する。