私は今日も、虚構(キミ)に叶わぬ恋をする。

「この間の土曜日、真昼と光峰さん、『エレアル』の話してただろ?」

「う、うん……ちょっとだけ」


土曜日のことを、私は思い返した。

あの日は久我山くんもいたから、あんまり『エレアル』の話はしなかった。
けど、そういえば、久我山くんがカラオケ中にトイレに行ったとき、真昼ちゃんに『エレアル』の話題を振られたっけ。

『烈華くん、本当にかっこいいですよね! 先週の読みました? あの場面でまさか現れるなんて、ってびっくりして!』

『そうなの! しかも一瞬で敵を蹴散らしちゃって、おまけにちょっとツンデレなセリフまで!』

『武器もいつもの銃じゃなくて、ゴツいの持ってましたよね? それを構える姿がかっこよくて〜!』

『サブマシンガンてやつかな? いつもの銃も好きだから、あれに変わっちゃったら寂しいけど、でも似合ってた〜しかも2丁持ち!』


思い返すと、ちょっと恥ずかしい、いかにもオタクっぽい会話。
こんな感じで、久我山くんが戻ってきてからも、キリのいいところまでは会話を続けてた



「あの時の光峰さん、すごく瞳がキラキラ輝いてて、あの日見た中で一番イキイキした顔してた」

「そ、そう……だった、かも」


確かにあの時は、とっても楽しくてテンション上がって、我ながらイキイキしてたと思う。

なんせ、大好きな烈華様について話してたんだから


「そう。《烈華様》について話す光峰さん、すごく明るい表情してて可愛かった」

「っ!?」

「いや、今のは忘れてっ!」


さらっと褒められて驚く私に、おたおたと慌てる久我山くん。