私は今日も、虚構(キミ)に叶わぬ恋をする。

「うん。……特に、さっきの宝城先輩みたいなタイプとか、怖くて萎縮しちゃって」

「あぁ……」


ああいう、ぐいぐい来るタイプの女の子に絶えずターゲットにされていたら、そりゃ、苦手意識も生まれるかもしれない。


「一度、前の学校で『彼女がいる』って嘘ついたこともあるんだけどさ、俺、嘘が下手で。

『どんな子?』とか、『どこで知り合ったの?』とか、『芸能人で言うなら誰に似てる?』とか。
色々聞かれて答えてるうちに、辻褄が合わなくなって、結局嘘だってバレちゃった。

相手の女の子達には『私たちが迷惑ならはっかりそう言えばいいじゃん!』って怒られて、中には泣いちゃう子もいて。
なんだか申し訳なくなっちゃったんだよ。

それ以来、嘘つくのはやめたんだ」

「久我山くんも大変だね……」


イケメンにはイケメンなりの苦労があるんだなぁ、って私は思った。