久我山くんは背が高いから、取り囲まれていても表情が周りからよく見える。
やや口の端が引き攣っているものの、彼は笑顔で先輩たちに尋ねた。
「あの……俺に何か用ですか?」
「用っていうか、『2年に超カッコいいイケメンが転校してきた!』って後輩がきゃあきゃあしてたから、会ってみたくなっちゃって。
そしたらホントにイケメンいるじゃん!
もー、超サイコー! ねっ、みんな!」
ウェーブの先輩が周りに同意を求めると、先輩たちが『うんうん!』と一斉に賛同する。
「あたし、3年の宝城茉莉花。
茉莉花って呼んでね、優星くん♪」
宝城先輩は、明るい茶髪を揺らしながら、久我山くんに迫っていた。
周りの先輩たちも、次々と自分の名前を告げ、久我山くんにアピールしてるみたいだった。
「……陽菜、あの宝城先輩って人、知ってる?」
私が声を潜めて尋ねると、陽菜はひそひそと耳打ちしてきた。
「部活の先輩から、噂は聞いたことある。
SNSとか動画とか色々やってて、ファンがすごくたくさん付いてるんだって。
うちの学校の1.2年でも、宝城先輩に憧れて真似したり、追っかけやってる子、結構いるみたい。
本当かわからないけど、モデル事務所やテレビ業界からも声がかかってるとか……」
「す、すごく人気の先輩なんだね……」
いかにもきらびやかで、私からは遠い世界って感じで、なんだかクラクラしてしまう。
が、陽菜は一層声を落とすと、険しい顔で付け足す。
「でも、評判悪いよ。
彼氏を顔で選んでとっかえひっかえしてるとか、自分に憧れてる子達をパシリみたいにこき使ってるとか。
宝城先輩の影響力が怖くて、誰も逆らえないの」
はぁ、と陽菜はため息をついた。
「久我山くん、厄介な人に目をつけられちゃったね」
やや口の端が引き攣っているものの、彼は笑顔で先輩たちに尋ねた。
「あの……俺に何か用ですか?」
「用っていうか、『2年に超カッコいいイケメンが転校してきた!』って後輩がきゃあきゃあしてたから、会ってみたくなっちゃって。
そしたらホントにイケメンいるじゃん!
もー、超サイコー! ねっ、みんな!」
ウェーブの先輩が周りに同意を求めると、先輩たちが『うんうん!』と一斉に賛同する。
「あたし、3年の宝城茉莉花。
茉莉花って呼んでね、優星くん♪」
宝城先輩は、明るい茶髪を揺らしながら、久我山くんに迫っていた。
周りの先輩たちも、次々と自分の名前を告げ、久我山くんにアピールしてるみたいだった。
「……陽菜、あの宝城先輩って人、知ってる?」
私が声を潜めて尋ねると、陽菜はひそひそと耳打ちしてきた。
「部活の先輩から、噂は聞いたことある。
SNSとか動画とか色々やってて、ファンがすごくたくさん付いてるんだって。
うちの学校の1.2年でも、宝城先輩に憧れて真似したり、追っかけやってる子、結構いるみたい。
本当かわからないけど、モデル事務所やテレビ業界からも声がかかってるとか……」
「す、すごく人気の先輩なんだね……」
いかにもきらびやかで、私からは遠い世界って感じで、なんだかクラクラしてしまう。
が、陽菜は一層声を落とすと、険しい顔で付け足す。
「でも、評判悪いよ。
彼氏を顔で選んでとっかえひっかえしてるとか、自分に憧れてる子達をパシリみたいにこき使ってるとか。
宝城先輩の影響力が怖くて、誰も逆らえないの」
はぁ、と陽菜はため息をついた。
「久我山くん、厄介な人に目をつけられちゃったね」

