「できればこれからも、真昼と仲良くしてやってほしいんだ」

「え?」

「あいつ、アニメや漫画の話ができる友達、あんまりいないみたいなんだ。
女子バレー部の仲間はスポーツ一色って感じらしくてさ。
彼氏……有丘くんとは、観ている作品がほとんど被らない、って愚痴ってたし」

「あー……男の子と女の子じゃ、そうかもね」


私も、ダイヴに載ってるような少年漫画は好きだけど、男の子向けのライトノベルやハーレム系のアニメは全然興味がない。


「たぶん、光峰さんが初めてなんだ。
あんな風に、共通の作品の話で盛り上がれるの。
だから、よければまた遊んでやってよ。
クラスメイトの妹なんて、やりづらいかもしれないけど」

「全然! 私も、今日すごく楽しかったし、もっと真昼ちゃんと話したい!
あ……、もちろん、久我山くんとも」

「いや、めっちゃ俺ついでじゃん」


軽口交じりにそう返す久我山くん。

その悪戯っ子のような笑顔に、一瞬、烈華様の悪い笑顔が被って、心の中の私の胸に『ぐはっ!!』と矢が突き刺さった。

一言で言うと超ドキドキした。


(が、我慢……久我山くんの前で、昨日のような醜態をさらすわけには……)


よろけそうになるのを、私はなんとか堪えた。

うぅ……これからもこんな感じで、久我山くんから《不意打ち烈華様》を喰らう予感がひしひしと。

ちょっと嬉しい。でも怖い。

私の心臓持つかしら。

久我山くんの人好きする笑顔を見上げながら、心の中の私が、はぁ、とため息をついた。