※※※


2時間カラオケをした後、私達は店を出ることにした。

お会計が済んだ後、真昼ちゃんがトイレに行っている間、私と久我山くんは初めて2人きりになった。

そのタイミングで、私はなによりも大事なことを切り出す。


「……久我山くん。お願いがあるんだけど」


久我山くんは、『あぁ』と頷いた。


「心配しないで。光峰さんの小説のことも、アニメや漫画が好きってことも、誰にも言わないから」

「恩に着ます……」


真昼ちゃんは『恥ずかしくなんかない』って言ってくれたけど、それは真昼ちゃんが、私と同じ趣味があるからで。

何も知らないクラスメイトたちに、私の秘密がバレるのは、どうしても避けたかった。
 

「いいよ。その代わり、お願いがあるんだ」

「お願い?」


(『新しい学校のことを色々教えてほしい』とかかな?)


私はそう予想してたのだけど、久我山くんの返答は違った。