私は今日も、虚構(キミ)に叶わぬ恋をする。

彼氏の話に区切りをつけた真昼ちゃんは、女性声優が歌うアニメ主題歌を、可愛い声ではつらつと歌い上げた。

そして次は久我山くんに番が回ってきたのだが。


「これ、アニソン縛り? 俺もアニソン歌った方がいい?」

「無理でしょ。お兄ちゃん、アニメ全然見ないじゃん」

「え? そうなの?」


私はまたもや驚いた。
妹の真昼ちゃん同様、久我山くんも漫画やアニメが好きなのだと思っていた。


「そうなんですよ! ダイヴだって、私が毎週買ってるのに読まないし!」

「それは、お前が自分の部屋にしまい込んででるからだろ?
リビングにでも置かれてたら読むって。気が向いたら」

「そう言って、いつも放置してスマホで動画見てるじゃん! 星とか天体とかの真面目ーな奴!」

「星?」

「好きなんだ。日食とか流星群とか、そういうの。ほら、こんな名前だから」


久我山くんは自らを指さすと、照れ臭そうに笑った。