私は今日も、虚構(キミ)に叶わぬ恋をする。

烈華様は、当初は主人公の敵、正確には主人公と敵対する組織の幹部として登場した。

組織の首領の命に従い、部下を率いて主人公たちと火の元素(エレメント)を巡って戦っていたのだが、部下の失策が原因で敗れ、さらには別の部下に裏切られ、瀕死になってしまう。
そこを、主人公の持つ水の元素(エレメント)の力で救われた烈華様。

以降は憎まれ口を叩きながらも、主人公のピンチに現れては力を貸すようになる……という、いわば敵が味方になるパターンのキャラクターだ。

その性格は一言で言うなら『ザ・俺様』。

弱い部下は容赦なく粛清して、時には自らの主にも逆らって我が道を行く。

笑顔を浮かべるのは敵をやっつける時ぐらい。
その笑顔も、戦闘狂めいた恐ろしいもので。
部下に裏切られるのもやむ無しの、尖った性格をしている。


そんな烈華様に対して、目の前にいる久我山くんの印象は、好青年そのものだ。

妹の真昼ちゃんが心配で、自分の休日を潰してまで付き添う、優しいお兄ちゃんたちで。

初対面同然の私のことも気遣ってくれる、思いやりのある男の子で。

そして何より、穏やかな笑みがとってもよく似合う。

烈華様がこんな風に笑うのを、私はとても想像できない。


烈華様そっくりの外見にはやっぱりときめいてしまうけれど、気がつけば私は、久我山くんのことを、1人の人間として好ましく思っていた。

見た目は《3次元烈華様》でも、中身は全然違う。

久我山くんは、一緒にいる時間を、リラックスして過ごせる人だった。