私は今日も、虚構(キミ)に叶わぬ恋をする。

「ほら、深月さんもこう言ってくれてるし!
それに、女の子2人でカラオケ店にいると危ないって友達が言ってたし!
ナンパ目的の人たちが部屋に押しかけてきたりして。
その点、お兄ちゃんがいれば安心でしょ?」

「わかったわかった。なら、今日は付き合ってやるよ。
光峰さん。そういうわけで、悪いね。もう少し居させてよ」


久我山くんは私に向けて、控えめな笑みを見せた。

私は思わずドキッとしてしまう。


(……やっぱり、烈華様そっくりだ。久我山くん)


烈華様がこの世界に存在したら、こんな顔なんだろうなって。
私が想像していた、そのままの姿をしている。
原作ファン全員納得、超神キャスティングの実写化って感じ。

一方で、その人の良い笑顔に、薄々察していた私の予感が確信に変わった。


(……中身は、烈華様と正反対みたいだ)