私は今日も、虚構(キミ)に叶わぬ恋をする。

「ここのカラオケ、メニューがすごくいっぱいありますよね〜。
この食パンを切り抜いた大きなフレンチトースト、アイスと生クリームたっぷりでおいしそう!」

「お前、さっきのカフェでもフラペチーノで糖分摂りまくってたじゃねーか。太るぞ、いいかげん」

「えー。だって、どんな味か気になるんだもん! ね、深月さん!」

「うん、私も食べたいと思ってたんだ! あとで半分こする?」

「わ〜い! なら、このてんこ盛り映えパンケーキも2人で注文しません?」

「お前なぁ……俺の話聞いてないだろ」

「いいじゃん。残ったら、いつもみたくお兄ちゃんにあげるから」

「毎度毎度、人を残飯処理係みたいにするなって言ってんだよ」

「とか言って、毎回残さず食べてくれるじゃん」

「お前はまず、毎回自分が食べきれない量を頼むことを反省しろ」


メニューが表示されたタブレットを見てあれこれ言いながら、私たちは、部屋に入ってすぐ注文した飲み物をそれぞれ飲んで一息ついた。

不意に会話が途切れたところで、私はようやく、ずっと気になっていた疑問を口にした。


「……ところで、どうして久我山くんも一緒に来たの?」