翌朝。


「深月、本当に大丈夫なの? まだ顔色悪いわよ?」

「ちょっと夜更かししちゃっただけだよ」

「そう? ……あぁ、これ、明来がアンタにって」

「お兄ちゃんが?」

「えぇ。『深月に渡しといて』って。バイトが朝早いからってもう出てっちゃったけど」


お母さんから渡されたのは、セイレニア限定で売られている、テルルーのマスコットだ。


「可愛いわね、それ。何かのキャラクター?」

「……うん。私の好きな漫画のキャラ」

「そうなの。あんなお兄ちゃんでも、一応アンタのこと心配してるのねぇ」


お母さんは少し笑った。

お兄ちゃん……まさか私がショックで寝込むとまでは思ってなかったんだろうなぁ。

ムカつくこともあるけど、悪い人では無いのだ。


私は、お兄ちゃんにもらったマスコットを鞄につけた。

そのとき、玄関のチャイムが鳴った。


「あら、こんな朝早くに何かしら?」


玄関に向かったお母さんは、すぐに戻ってくると、慌てた様子で私に行った。


「深月! す、すごいカッコいい男の子が迎えにきてるわよ?!」

「え?!」


私は慌てて玄関に走る。


「ごめん。『待ってる』って言ったのに、来ちゃった」


そこにいたのは、優星くんだった。