「深月、どうしたの? その顔」


翌朝、リビングに入ると、お母さんが心配そうに駆け寄ってきた。


「すごいクマ。それに……目の下が真っ赤じゃない。学校で何かあったの?」

「……なんでもない」


私は力なく首を振った。

結局昨日は、一晩中眠れなかった。

布団にくるまって泣いているうちに、気づいたら朝になってしまっていた。


「朝ごはん、食べれる? お粥でも作ろうか?」

「いい。……食欲ないから」

「どうしたのよ、本当。悩みがあるなら話してごらんなさい」


お母さんは不安そうな顔をしてるけれど、まさか、『漫画のキャラが死んで落ち込んでる』なんて言えない。


「大丈夫だから。……ただ、夜更かししちゃっただけ」

「ならいいんだけど……。ねぇ、学校休んだら?」

「いいよ、行く」

「ダメよ。何があったか知らないけど、そんな顔で学校行ったら、友達に心配かけちゃうわよ。
1日ぐらい大丈夫だから、ね? ゆっくり休みなさい」


お母さんは有無を言わさず、学校に休みの連絡をした。


「2階で寝てなさい。食べたいものがあれば買ってくるから」

「うん。……ありがとう」

「いいわよ。
深月、いつもいい子なんだから、たまにはお母さんに世話焼かせてよ」


お母さんは、明るい笑顔で私を2階に送り出した。