私は今日も、虚構(キミ)に叶わぬ恋をする。

「いいの、これ? 真昼ちゃんが欲しがらない?」

「や、真昼はそっちの方が好きだと思うからら、交換してもらえると助かる」


優星くんは、私がもらった景品……『エレアル』のマスコットキャラ・テルルーのぬいぐるみを指さした。


「あいつ、ぬいぐるみ集めるの趣味なんだよな。部屋開けるとベッドの上にぎっしり。
そのキャラのグッズ、確か真昼、たくさん持ってたし」

「そうなんだ。じゃ、交換お願いします!」


(あぁ、夢にまで見た烈華様ブランケット!)

私は戦利品をぎゅっと抱きしめた。



「あ、あの人、ブランケットゲットしてる!
いいなぁ〜」


列に並んでる女の子たちが、私たちを見てそう話しているのが、耳に入った。


「このアトラクション、難易度高いので有名なのにすごいね〜」

「横の彼氏に取ってもらったのかな?
うらやましい〜! 私も、『エレアル』デーでできる彼氏欲しい!」

「……ていうか、あの彼氏、よく見たら烈華様そっくりじゃない?」


女の子の言葉に反応してか、列に並んでいた客たちが、一斉にこちらを見た。


途端、『キャー!』という甲高い歓声がそこかしこで響いた。