「咲。」
やっと邸宅に着くと、玄関にいる守衛の元へ向かった。
まだ自分はこの邸宅内に入れるだろうか。

そんなことを思いながら、守衛に頭を下げる。

するといとも簡単に邸宅内に入ることができた。

守衛は玲と咲が生まれる前からいた人だ。
玲のただならぬ様子に、何かを察してくれたようだった。

玲は頭を下げて、邸宅内に入る。

「どこにいる?咲?」
咲は何も答えない。

ここに来るまでに15分以上かかってしまった。
その間、咲は何も話をしない。