お嬢様の恋 ~秘書兼護衛係はお嬢様への一途な想いを隠せない~

誰もいなくなった部屋。
咲は椅子に深く腰掛けると目を閉じて上を向く。

背もたれに完全に体重をかける。


本当は苦手だ。

この世界の仕事、すべてが苦手だ。

だからいつの日からか身に着けた術。
それは自分ではないほかの誰かになり切ること。

自分の心に蓋をして、ほかの誰かになり切る。

そうすることで自分を守ろうとしてきた。