お嬢様の恋 ~秘書兼護衛係はお嬢様への一途な想いを隠せない~

「専門的な言葉を並べてもご理解いただけないでしょう。」
重役たちは不敵な笑みを浮かべながら口々に言う。

「わが社のk503fpの方が状態は安定しています。今のペースで行けばイギリスの製薬会社が開発段階の薬品よりも先に需要と供給が安定できる計算です。しかし、そのためには少なくともあと1億7千500万円は必要という試算を出しました。」
重役たちがあらかじめ計算していた追加予算にさらなる上乗せが必要だと踏んでいた金額にきわめて近い額に、重役が黙る。

「斉木常務。あなたがうちの製薬会社に勤め始めてから31年。私の人生よりも長い時間をわが社の研究にかけて来た熱意には頭があがりません。しかし、このk503fpが研究段階に入ってからすでに10億近いお金が動いています。そのうち、私が就任してからかかった研究費は6億を越えます。この費用を工面するために私は様々な企業に協力を求め、実際に融資もいただいてきました。その金額は斉木常務も良くご存じのはず。」
斉木は少し焦りながらも黙る。ほかの重役たちも咲の確実な計算に返す言葉を見つけられない。
「新薬や詳しく専門的知識をつける時間があれば、社長として費用を工面することが優先事項かと思うのですがどうでしょうか。」
つめたくも見える無表情の咲の視線。