そこには、身支度を整えてワンピース姿の咲がいた。

しっかりと化粧までしている。

椅子に座り、部屋に入ってきた玲の方を見ている。

「どうして?」
思わず声が漏れた玲。
「これから父との食事です。一緒に食堂へ来てください。」
咲は家政婦がいるからだろうか。
敬語で、あくまでお嬢様と秘書兼護衛役だという役を強調するような口調と態度だった。

「しかし、体調がすぐれない中での食事は難しいかと。代表からも私に連絡は入っていません。」
精一杯平静を装い、咲に言う。

今の体調で食事なんて無理だ。
それに玲を通さずに咲に連絡をすることはめったにない。