予定日よりも2週間早く産気づいた咲。
咲が臨月になってからは玲は咲のサポートに回るようにしていて、そばに居たからこそ、息子が生まれるその瞬間も立ち会うことができた。

「早くみんなに抱っこしてほしいね」
「あぁ」
ほわほわしている生まれたばかりの息子の頬をつんと触れる咲。
「かわいい」
「あぁ。」
この湧き上がる感情は、今まで経験をしたことがなくて、なんと名付けていいかわからない。

「ねぇ、名前なんだけど」
「あぁ」
「あのね」
「わかってる」
「え?」
生まれるまで性別は聞かないと決めていた玲と咲。
名前の話も今までしたことがなかった。