「よく頑張ったな。ありがとう。」
そう言って愛おしさを込めて愛する妻をみる玲。
腕の中には小さな小さな新しい命。
この世に産まれたばかりの愛しい我が子は、男の子だった。

「玲も、ありがとう」
髪も乱れて、汗をかいているのに、今まで見て来た中でも一番輝いている咲に、玲は微笑む。
「こんなにも感動的な瞬間、はじめてだ。」
「私も。」
二人はついさっき、父親と母親になった。

困難も多かったこれまでの道のり。
そんな困難など忘れるほど、この命に会うために乗り越えて来たのだと思うと、感慨深い。

「愛してる」
妻の額に玲は自分の額をつける。
ふたりの間には愛息。
元気な産声をあげた息子は今は玲に抱かれて安心したように眠っている。